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うるさいギャラリー

井戸へ帰れ


まずこれを見て。貝瀬俊平の展覧会自己紹介動画。バカでしょ。



実は2週間ほど前からIAF SHOP*では貝瀬俊平の個展「井戸へ帰れ」が行われているワケだが、始まった週は本人も見ている俺も何とも落ち着きがない感じで、貝瀬はとにかくいつもギャラリースペースに入って何か描いたり作ったり壁動かしたりしていた。俺も最初はとっ散らかり過ぎてて何がしたいのか全然分からず感想の言いようも無かった。貝瀬自身も「甘い、俺は甘すぎる」とか言ってて、俺も「そうだね」とか言ってた。というか貝瀬は常に喋っていて、反省のセリフがすごい多い。そしてその中に混ぜ込むように「良い線が描けた」とか「スゲェのが描けた」とか「これイイッすよ」とか言っている。俺は「そうだね」と答える。

俺がよく言うこと。
「アートっていうのが何かは分からないけど、アーティストというのは分かる。アーティストっていうのは常にアートとは何か、ということを考え続けている人でそれが特別のことでも無くなっている人のことだ」
この話に則っていうと貝瀬俊平は間違いなくアーティストである。ちょっと度を越してはいるが、アートのことを考えるのが楽しくてしょうがないみたいだ。きっとアートが何なのかはずっと分からないままだろうし、貝瀬の作品が誰が見ても素晴らしいものになることもずっと無いだろうけど、こんなヤツが一人くらいいても罰は当たらないだろう。

さて、先週に入ってからやっと貝瀬の展示について俺も何かを感じることができるようになった。相変わらずとっ散らかったままのギャラリースペースに入ってみると、貝瀬が自分の作品について言っている「気合いが入った絵が描けた」とかは全部無視しても、ずっと良くなっている。とても気持ちが良い。本人の意思とは関係なく何だかエンタテイメントの香りさえ感じる。見る人が楽しくなるのは良いことだ。

この展示は今度の日曜日2月21日で終わってしまうけど、その前日20日の土曜の夜にクロージングパーティをやります。もしかしたら“井戸へ帰る”ためのパフォーマンス的な何かをやるかもしれません。でもこれがまだ確定でないのは貝瀬が「井戸へ帰れ、といのは井戸から出ることなのだ」とか言うのでまだまとまっていないからです。
それからパーティのおもてなし料理は貝瀬俊平手作りの豆腐餃子です。豆腐餃子というのが何かはよく分からないけど、美味しいこと間違いなしだとのことです。本人は「貝ちゃんギョウザ!」と叫んでテンション上がってます。どなたもお誘いあわせのうえ、お気軽にお越しください。よろしくです。




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展覧会タイトル:井戸へ帰れ
作家名:貝瀬俊平
期 間:2016年2月4日[木]-2月21日[日]
休廊日:月・火・水曜日休廊
時 間:木・金18:00-23:00 土・日13:00-21:00
料 金:無料
場 所:IAF SHOP*(福岡市中央区薬院3-7-19-2F)
問合せ:090-5475-5326(佐藤)
http://iafshop.tumblr.com/

◎展覧会内容
貝瀬俊平によるIAF SHOP*では2度目となる展覧会。
前回の展示から5年半、その間ずっと描けずにいたが去年から制作を再開。またこの場所からスタートを切る事を決めた。
展示内容は絵画作品が主であるが、空間そのものを作品化することも試みる。

◎関連イベント
2月20日[土]19:00よりクロージングパーティ
参加費700円(1ドリンク・軽食付き)

◎作家からのコメント

井戸へ帰れ

五年ぶりに絵を描きだしたので三年ぶりに展示を再開します。
この五年間、暗い部屋でむき出しのコードをぶつけ合い、火花を散らして眺めたり。
せっかくできた彼女にも振られ、ノイローゼになり彼女を殺しそのまま死体と暮らす、最後は自分の右目を繰り抜き交番に首をもって出頭する夢という夢を見たりしました。

どうやら熱くなりすぎて気合が上滑りしていたようです。最近は駅前の飲み屋で知り合った相手とタクシーで帰り、いちゃついた挙句キスしようとしてフラれ、泣く泣く帰ったりしました。もうさんざんです。

「お前は蔵育ちか!そんなに何でもかんでも理性で解決できるもんじゃないやろ。」 
「ただ送り届けるだけのボランティアならしなきゃいいんだよ。」 
「そりゃ野暮ってもんだよ」
友達もあきれながらいいました。

おまけに悪いことに、オザケンに似てると言われ絶対その話したくないと思った僕は「誰それオザケン。知らない」と言ってその都度話を流しました。次の日相席した友達に沢田研二やイルカの話をしていたのに。野暮の上塗りです。

「お前それ蔵じゃなくて井戸の生まれじゃないか。井戸へ帰れ!」 

そうです僕は井戸の生まれでした。母親の井戸の穴に父親が満たした水の中で泳ぐ蛙でした。その水のぬくもりは僕の体内に宿りそれが一生続くのだと思っていました。しかしある日両親から自立した時、両親はいつか死ぬんだと気づきました。もう井戸の中はすっかり冷たくなっていました。しかし井戸から出て外を伺っても、空は暗く、しんと静まりかえっています。いつも井戸へ帰り自分の世界に浸かることしか頭になかった僕はもうそろそろ新しく井戸を見つけ、自分で水を満たす決心をしました。
父親が母親にそうしてきたように。

ただこの命をつなぐために
(ただこの命をつなぐために)。
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by iaf_satokei | 2016-02-17 23:34 | Comments(0)